せんねん灸セルフケアサポーター・日本不妊カウンセリング学会会員
「アトピー」とは、ギリシャ語の「atopia」が語源で、「奇妙な」という意味があります。
20世紀当初の医学において、「アトピー」は原因不明で、それこそ「奇妙」としか言いようのないものだったのかもしれません。
日本皮膚科学会における「アトピー」の定義は
「増悪・寛解を繰り返す掻痒ある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」と書かれています。
すなわち、「かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気」ということになります。
定義にかかれているアトピー素因とは、アレルギー体質のことで、本人だけでなく、家族の方が「アトピー性皮膚炎」や「アレルギー性鼻炎」、「喘息」、「結膜炎」などを持っていていることをさします。
アトピー性皮膚炎の原因には、「体質的な要因」と「環境的な要因」とがあります。
この2つの要因が重なったときに、皮膚の炎症が起こると考えられています。ただ、このときの体調や、精神的な状態によって、炎症が起こる時と起こらないときがあります。
このことから、アトピー性皮膚炎は、一つだけの原因ではなくいくつもの要因が重なって影響することが考えらえれます。
【体質的な要因】
【環境的な要因】
治療の3本柱である
が挙げられます。
この標準治療は、
皮膚の清潔を保ち、うるおいのある状態を保つ「スキンケア」。
皮膚の炎症を抑える「薬物療法」
環境中の悪化因子をみつけ、可能な限り取り除く「悪化因子の対策」
これらの事から、「低下した皮膚バリア機能の補助」と「悪化因子の除去」が中心になります。
皮膚バリア機能の観点からしても、アトピー性皮膚炎の治療には、外用薬が必要不可欠になります。
外用剤には、ステロイド剤と保湿剤があります。
ステロイド剤のみでアトピー性皮膚炎をコントロールしようとすると、一時的な寛解は得られますが、再び増悪するケースが多いです。
これは、バリア機能の低下という、アトピー性皮膚炎の病態を無視した治療結果としては当然の事であり、病態に即した治療を考えれば、保湿剤はステロイド剤よりもむしろ重要であると考えられます。
アトピー性皮膚炎に対して、医師は漢方薬を試みることがあります。
漢方薬と鍼灸は、同じ東洋医学の両輪であり、有効性も少ないながら確認されています。
漢方薬で、エビデンス(科学的根拠)があるのは、「消風散」と「補中益気湯」だけと言われていますが、皮膚バリア機能低下を引き起こす乾燥肌や、慢性的な皮膚炎、心身的なストレスに対する漢方薬は、多々あります。
鍼灸では、漢方薬と同様の働きを持っているツボがあり、アトピー性皮膚炎の重症度を反映する、血清学的データの変化を認めたことを報告しています(2010年の江川誠人氏等から論文による)。
当院では、現代医学の治療を続けてもらいながら、鍼灸でアレルギーを抑えるツボや、かゆみを抑えるツボなどを使いながら症状を和らげていきます。その後、アトピー体質の改善を目指して鍼灸施術を行っていきます。
また、自宅でお灸のセルフケアを希望する方は、お申し付けください。ツボの探し方やお灸の火のつけ方などをお話しします。
ただし、お灸によって水ぶくれ等ができることがあります。そのため初回の施術で様子を見て、水ぶくれ等ができなければ、2回目以降の施術のときにお話しします。
10月のお灸教室は、いつもと違い第二日曜日の10月13日(日)に行います。完全予約制のため、10月8日(火)までにご予約ください。