ストレスや気持ちが落ち着かないときに
厥陰兪とは?
【厥陰兪(けついんゆ)】は、足の太陽膀胱経に属するツボで、膀胱経の第14穴にあたります。膀胱経は、目、頭、首、背中、腰、足へと体の後面を通る長い経絡で、東洋医学では体の緊張や自律神経のバランスとも関係が深いと考えられています。
- 厥陰兪の「厥陰」は、東洋医学で心臓を外敵から守る「心包(しんぽう)」という働きを意味します
- 厥陰兪の「兪」は、そのエネルギーが注ぎ込む場所を意味します
すなわち、心臓の働きを間接的にコントロールし、精神的な疲労や感情の乱れを調整する役割を担っています。
厥陰兪は、東洋医学で「心包」と関係が深いツボとされ、ストレス、精神的な緊張、胸のつかえ感などに用いられることがあります。特に、感情の影響を受けやすい体調の乱れに対して、ケアの一つとして取り入れられることがあります。
厥陰兪の探し方
厥陰兪は、肩甲骨の間、背骨の4番目の出っ張りから指2本分外側にあります。
- 首を前に倒した時に最も突き出る骨(第7頚椎)を確認します。
- そこから背骨の突起を下に数えていき、4番目の骨(第4胸椎)を探します。
- 第4胸椎の突起のすぐ下のくぼみを確認します。
- そこから真横(外側)へ指の幅2本分(約1.5寸)進んだ場所が厥陰兪です。
- 前回の「肺兪」から、背骨一つ分(指の幅1本分強)真下に降りた位置になります。
*厥陰兪は、背中の中央付近、肩甲骨の内側に位置します。強く押しすぎないよう注意しましょう
厥陰兪はこんなお悩みに
厥陰兪は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 精神的ストレス・不安: 緊張を解きほぐし、イライラや気分の浮き沈みを落ち着かせます。
- 胸の苦しさ・動悸: 胸が締め付けられるような感覚や、ドキドキする動悸を和らげます。
- 不眠・寝つきの悪さ: 交感神経のたかぶりを鎮め、リラックスした眠りを助けます。
- 胃の不快感: ストレス性の胃痛や、みぞおちのつかえ感を緩和するサポートをします。
- 背中の痛み・肩こり: 肩甲骨の間の頑固なコリを解消し、上半身を軽くします。
そのほか、胸のつかえ感、気分の落ち着かなさ、緊張しやすいなどにも使用されることがあります。
特に、精神的な疲れと身体のこわばりが重なっているときに、セルフケアとして取り入れやすいツボです。
*強い不安感や動悸、長引く不調がある場合は医療機関へご相談ください。
厥陰兪のセルフケア方法
心臓に近い繊細な反応点なので、“優しく包み込むように熱を届ける”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「冷えからくる動悸や、深い悲しみ・不安がある時」に有効です。背中は自分では見えないため、家族や友人に手伝ってもらうのが安全です。熱さを心地よく感じる程度で留めましょう
- 火を使わないお灸:精神的に疲れている時や、呼吸が浅いと感じる時に最適です。ここに「太陽」を貼って温めることで、心包の緊張が解け、全身が穏やかなリラックスモードに切り替わります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):背中の筋肉は意外と厚いですが、心臓に近い場所なので、まずは短いタイプから試して持続的な刺激を送ると、心の安定に役立ちます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:手が届きにくい場所ですが、仰向けに寝てテニスボールなどをツボの位置に当てます。息を大きく吐きながら、じわーっと自分の体重を3〜5秒かけます。この時、ゆっくり深呼吸を繰り返すと、胸の奥が広がるような開放感を得られます
*激しい動悸や、左胸から肩にかけて突き刺すような痛みがある場合は、心臓疾患の可能性があるため、セルフケアを中止してすぐに医療機関を受診してください
セルフケアで変化が感じられない時は
ストレスや気分の不調は、生活リズムの乱れ、睡眠不足、精神的な負担、自律神経のバランスなどが関係していることがあります。
また、胸の圧迫感が強く、冷や汗が出る、あるいは痛みがあごや左腕にまで広がるような場合は、狭心症などの疑いがあります。
自分でケアしても気分の落ち込みや胸の苦しさが改善しない、と感じる時は、無理をせず循環器内科や鍼灸師に相談しましょう。
鍼灸の施術では、手や足、背中などのツボを使用して、全身調整を行います。
それによって、厥陰兪の持つ「心を穏やかに保つ力」を最大限に引き出されます。




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