五十肩の痛みで腕が上がりにくいあなたへ
肩髎とは?
【肩髎(けんりょう)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第14穴にあたります。三焦は東洋医学において、気や水分の通り道、上半身の巡り、筋肉や関節の働き、自律神経のバランスなどに関わるとされています。
- 肩髎の「肩」は、そのまま肩関節を指します
- 肩髎の「髎」は、骨の隙間やくぼみ、関節の深い溝を意味します
すなわち、肩の関節を構成する骨と骨の間の、非常に重要な隙間にあるツボであることを示しています。
肩髎は、肩関節の動きをなめらかにする、肩まわりの筋緊張をやわらげる、気血の巡りを整える、肩から腕への重だるさを軽減するといった働きがあるとされ、肩こり、四十肩・五十肩のような不調、肩を上げにくい、腕の重だるさ、肩関節の違和感などに用いられることがあります。
特に、「肩関節周囲の緊張や巡りの悪さによって動きが悪くなっている状態」に適したツボです。
肩髎の探し方
肩髎は、腕を真横に水平に上げたときに、肩の端(肩峰)の後ろ側にできる、指がすっぽり入る大きなくぼみにあります。
- 確認しやすいように、まず腕を真横に90度しっかりと持ち上げます。
- このとき、肩の真横にある一番外側に突き出た骨の端(肩峰)のすぐ下に、2つの大きなくぼみが現れます。
- そのうち、「前側」にできるくぼみは別の大腸経のツボ、肩髃です。
- 今回の肩髎は「後ろ側」にできる、もう一つの大きなくぼみになります(肩の端の骨から、指の幅約1本分後ろに下がった位置です)。
- 腕を下ろすと、そのくぼみはやや閉じますが、位置を確認したまま親指で関節の隙間の奥へ向かってジワッと押し込むと、肩の奥深くに「ズーン」と重く響く感覚がある場所です。
*肩の後ろ、腕を上げたときにへこむ場所のイメージです。腕を軽く動かしながら探すと見つけやすくなります。押すと響く感じや、軽い圧痛がある場所が目安です。
肩髎はこんなお悩みに
肩髎は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 四十肩・五十肩(肩関節周囲炎): 髪を洗う、服を着替える、背中に手を回すといった動作の時のズキッとする痛みを緩和します。
- 夜間痛(夜寝るときの肩の痛み): 肩まわりの血流の滞りを解消し、夜間にじんじんと痛んで眠れない症状を和らげます。
- 頑固な肩こり・首こり: 肩の関節の根元から首すじ、背中にかけての大きな筋肉の強張りをガツンと緩めます。
- 上肢の神経痛・腕のしびれ: 肩から腕、指先へと繋がる気血の通り道をスムーズにし、だるさやしびれをケアします。
- 脳卒中などによる片麻痺・肩の弛緩: 関節の周囲の組織を刺激し、腕を支える力をサポートします。
そのほか、腕が上がりにくい、肩の疲労感などにも使用されることがあります。
特に、「肩関節周囲が硬くなり、動きが制限されている状態」に適しています。
*強い痛みや腫れ、腕が全く上がらない場合は医療機関へご相談ください。
肩髎のセルフケア方法
「関節の深い隙間にある痛みの拠点を狙う場所」なので、“腕の力を完全に抜き、関節の奥へじわじわと圧や熱を浸透させる”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「肩が冷えると痛みが強くなる時や、夜間にじんじん痛む時」に有効です。肩の後ろ側は手が届きにくい場所なため、ご家族などに手伝ってもらい、心地よい熱さが関節の奥へ染み渡るように据えてください。血液が一気に巡り、痛みの物質が洗い流されます
- 火を使わないお灸:五十肩の慢性期や、デスクワークによる肩こり対策に最もおすすめの方法です。肩の後ろのくぼみに「太陽」をピタッと貼っておくことで、マイルドな温熱が持続し、関節の奥までじわじわと温まります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):肩関節の深い場所にアプローチしたいため、貼った状態で日常動作や仕事を行うことで、動くたびに関節まわりの筋肉や腱の癒着を優しく剥がすように持続的なケアができます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:ケアする側の腕をだらんと下ろします。反対の手を胸の前から回し、親指の腹をツボのくぼみに当てます。肩の関節の奥(骨の隙間)に向かって斜め上方向に深く圧を加えます。押しながら、腕を小さく前後にブラブラと揺らすと、より深部の緊張が抜けやすくなります
*肩をほんの少し動かすだけでも激痛が走る「急性の強い炎症期」の場合は、お灸での温めや強いツボ押しは、炎症を悪化させる恐れがあるため絶対に避けてください。お灸を使用する際も、熱さを無理に我慢しないようにしましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
肩の動かしづらさや肩こりは、長時間の同一姿勢、運動不足、姿勢不良、肩関節周囲の筋力低下、ストレスによる筋緊張などが関係しています。
また、腕が全く持ち上がらない、あるいは痛みのせいで何日も夜全く眠れず体力が消耗しているような場合は、石灰沈着性腱板炎や腱板の完全断裂といった重篤な状態の可能性があるため、速やかに整形外科などの医療機関を受診し、検査を受けてください。
慢性的な五十肩で、セルフケアをしていてもなかなか腕の可動域が広がらない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、肩甲骨を動かす体操、軽いストレッチ、長時間同じ姿勢を避ける、湯船で肩を温める、適度な運動を取り入れるといった日常習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、肩髎の持つ「関節のロックを解除し、頑固な痛みと癒着を一気にリセットする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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