食欲不振や胃腸のもたれを感じる時に
脾兪とは?
【脾兪(ひゆ)】は、足の太陽膀胱経に属するツボで、膀胱経の第20穴にあたります。膀胱経は、目、頭、首、背中、腰、足へと体の後面を通る長い経絡で、東洋医学では体の緊張や自律神経のバランスとも関係が深いと考えられています。
- 脾兪の「脾」は、消化器系全般(現代医学でいう膵臓の働きも含む)を意味します
- 脾兪の「兪」は、エネルギーが注ぎ込む場所を意味します
東洋医学において「脾」は、飲食物からエネルギー(気・血)を作り出し、全身へ送り出すと考えられています。
脾兪は、「脾」の働きと関係が深いツボとされ、食欲不振、胃のもたれ、消化不良、疲れやすさなどに用いられることがあります。
特に、胃腸の弱りと体のだるさが重なっているときに、ケアとして取り入れられることがあるツボです。
脾兪の探し方
脾兪は、背中の真ん中より少し下、背骨の11番目の出っ張りから指2本分外側にあります。
- まず、前回見つけた「胆兪(第10胸椎の下の両脇)」を確認します。
- そこから背骨の突起をさらに1つ分下にたどります。
- 第11胸椎(背骨の11番目の突起)のすぐ下のくぼみを確認します。
- そこから真横(外側)へ指の幅2本分(約1.5寸)進んだ場所が脾兪です。
- ちょうど、肋骨の一番下のラインより少し上あたりの高さに位置します。
*押すと、やや重だるいような痛気持ちいい感覚がある場所が目安になります。強く押しすぎないようにしましょう。
脾兪はこんなお悩みに
脾兪は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 胃腸の弱り・食欲不振: 消化を助け、栄養をしっかり吸収できる体質に整えます。
- 慢性的な倦怠感: 「気」を作る力を高め、朝からシャキッと動ける活力を養います。
- 軟便・下痢・むくみ: 体内の余分な水分(湿)を排出し、お腹の調子を安定させます。
- 思考の停滞・クヨクヨ悩み: 脾は「意(思考)」を司るため、考えすぎによる精神疲労を和らげます。
- 内臓下垂・不正出血: 脾の「持ち上げる力(昇提作用)」を助け、体の内側をシャンとさせます。
そのほか、胃のもたれ、消化不良、疲れやすい、身体がだるい、下痢や軟便などにも使用されることがあります。
特に、消化機能の低下と全身の疲労感が重なっているときに、セルフケアとして取り入れやすいツボです。
*症状が強い場合や長引く場合は医療機関へご相談ください。
脾兪のセルフケア方法
生命のエネルギー源を養う場所なので、“優しく、温熱を芯まで届ける”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「慢性の下痢や、芯から冷えて食欲がない時」に非常に有効です。背中は自分では見えないため、誰かに手伝ってもらうのが安全です。熱さを心地よく感じる範囲で、じっくり温めましょう
- 火を使わないお灸:胃腸が弱く、疲れやすい方の日常ケアに最もおすすめです。ここに「太陽」を貼って温めることで、脾の働きが活性化され、全身の血色が良くなり、手足の冷えも緩和されます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):背中の大きな筋肉層から持続的に刺激を送ることで、食べ過ぎた後の不快感や、季節の変わり目のだるさを予防する助けとなります(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:仰向けに寝て、ツボの位置にテニスボールを置きます。息を吐きながら、お腹の底に響かせるようなイメージで、じわーっと自分の体重を3〜5秒かけます。お腹が「ギュルギュル」と動き出すのを感じたら、良い刺激が伝わっている証拠です
*食後30分以内の激しいツボ押しは、消化の妨げになるため避けてください。また、ひどい胃痛がある場合は無理な刺激を控えましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
食欲不振や胃の不調、疲れやすさは、食生活の乱れ、冷え、ストレス、睡眠不足などが関係していることがあります。
また、急激な体重減少や、激しい腹痛、便が黒いといった症状がある場合は、重大な消化器疾患の可能性があります。
自分でケアしても食欲不振や倦怠感が全く改善しない、と感じる時は、無理をせず内科や鍼灸師に相談しましょう。
鍼灸の施術では、手足や首、腰、お腹などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、脾兪の持つ「生命力を生み出す力」が最大限に引き出されるでしょう。




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