お腹の緊張や心と身体のリズムを整える
陰都とは?
【陰都(いんと)】は、足の少陰腎経に属するツボで、腎経の第19穴にあたります。腎は東洋医学において、生命エネルギーの基盤、水分代謝、ホルモンバランス、消化吸収のサポートなどに関わるとされています。
- 陰都の「陰」は、腹部や腎のエネルギー(陰液)を指します
- 陰都の「都」は、それらが豊富に集まり、交流する場所を意味します
腎経の気がお腹の深い場所から昇ってきて、胃の働きと密接に関わる重要な合流地点です。
陰都は、腎経と「衝脈(しょうみゃく)」が交わる地点であり、精神的な緊張が胃腸に影響しやすい現代人にとって、高ぶった気を鎮め、内臓をリラックスさせるための「守り神」のような役割を果たします。
特に、「ストレスや疲れにより、上腹部の巡りが滞っている状態」に適したツボです。
陰都の探し方
陰都は、おへそから指の幅5本分上で、そこから外側へ指の幅半分(約0.5寸)ずれた場所にあります。
- まず、おへその中心を確認します。
- おへそから真上に向かって、指の幅4本(3寸)+指の幅1本(1寸)の合計指5本分(約4寸)上がります。
- その位置から、外側へ指の幅半分(約1センチ強)ずれた場所が陰都です。
- ちょうど、みぞおちのくぼみ(中脘の高さ)のすぐ横に位置します。指で軽く押さえると、胃のあたりにズーンと響くような感覚や、緊張していると抵抗を感じる場所です。
*みぞおちの少し下、やや外側にあるツボのイメージです。軽い圧痛やつかえ感がある場所が目安です。内臓に近い部位のため、強い圧は避けましょう。
陰都はこんなお悩みに
陰都は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 神経性胃炎・胃痛: ストレスによる胃の痛みや不快感を鎮めます。
- お腹の張り・膨満感: 消化管のガスを流し、パンパンに張った苦しさを緩和します。
- 便秘・下痢: 胃から腸への流れを整え、スムーズな排泄を促します。
- 自律神経の乱れ: みぞおちの緊張を解くことで呼吸を深くし、リラックスへと導きます。
- 冷えのぼせ: 上に昇りすぎた気を下ろし、足元の冷えと頭ののぼせのバランスを整えます。
そのほか、みぞおちの張り、消化不良、胃のもたれ、食後の不快感、気のつかえなどにも使用されることがあります。
特に、「気の巡りの停滞と胃の働きの低下が重なっている状態」に適しています。
*強い腹痛や吐き気・嘔吐がある場合は医療機関へご相談ください。
陰都のセルフケア方法
「気が集まる都を整える場所」なので、“優しく包み込むように温め、緊張をほどく”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「胃腸の働きが弱っている時や、お腹全体が冷えて硬い時」に非常に有効です。心地よい温かさが広がるまで据えましょう。ここを温めると「都」に活気が戻り、全身の巡りが改善されます
- 火を使わないお灸:精神的な疲れがお腹に出やすい方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、みぞおち周辺が持続的に温まり、呼吸が浅くなりがちな時でも自然と深い呼吸ができるようになります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):みぞおちに近い場所は刺激に敏感なため、まずは一番短いタイプから試しましょう。小さな刺激が、胃のキリキリとした緊張を未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:仰向けになり、両膝を軽く立ててお腹を緩めます。人差し指と中指を揃えてツボに当て、ゆっくり息を吐きながら、お腹の重みを利用するように優しく押し下げます。無理に強く押すのではなく、指の温度がじわーっとお腹の奥に伝わるのを待つように行うと、内臓が動き出す音が聞こえてくることもあります
*食後すぐや、激しい動悸がある時の強い刺激は控えましょう。また、みぞおち付近は皮膚が薄いため、お灸の際は温度に注意し、熱すぎると感じたらすぐに取り除いてください
セルフケアで変化が感じられない時は
みぞおちの張りや消化不良は、ストレス、食べすぎ・飲みすぎ、不規則な食生活、自律神経の乱れ、冷えなどが関係しています。
また、みぞおちの激痛や、吐き気が止まらない場合、あるいは便に異常(血便など)がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
セルフケアを続けても胃の不調や気分の落ち込みが晴れない、という時は、無理をせず鍼灸師に相談しましょう。
また、食事量を見直す(腹八分目)、よく噛んで食べる、食後すぐ横にならない、リラックスする時間を作る、身体を冷やさないといった日常習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首、肩、肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、陰都の持つ「内臓を滋養し、自律神経を安定させる力」最大限に引き出されるでしょう。




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