頭皮を緩めて目や耳の不快感を解消したい時に
角孫とは?
【角孫(かくそん)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第20穴にあたります。三焦は東洋医学において、全身の気や水分の巡りを調整する、自律神経の働きをサポートする、上半身の循環を整えるなどに関わるとされています。
- 角孫の「角」は、耳の上角(じょうかく:耳の最上部)、あるいは生え際の角を指します
- 角孫の「孫」は、本幹から細かく枝分かれした細い血管である「孫絡(そんらく)」を意味します
すなわち角孫は、耳の真上という場所で、頭皮や目の奥へと張り巡らされた無数の繊細な毛細血管や神経が深く交差する拠点であることを示しています。
そのため角孫は、耳周囲の巡りを整える、側頭部の緊張をやわらげる、気血の流れを促す、頭部の停滞感を軽減するといった働きがあるとされ、耳鳴り、耳の閉塞感、難聴傾向、側頭部の頭痛、顎まわりの緊張などに用いられることがあります。
特に、「耳や頭の横に停滞感がある状態」に適したツボです。
角孫の探し方
角孫は、耳たぶを前に折り曲げたときに、耳の一番上の端が当たるところにある、髪の生え際のくぼみにあります。
- 首をまっすぐ正面に向け、左右の耳の形を確認します。
- 耳の上部を優しく前にパタンと折り曲げてみてください。
- そのとき、耳の最も高い部分(耳尖:じせん)が頭の皮膚にペタッと触れるポイントを探します。
- 髪の生え際のキワ(または髪の毛の中)にあたり、指先で触ると骨の表面に小さな溝やくぼみを感じ、口をもぐもぐと動かすとピクピクと筋肉が動く場所が角孫です。
- 人差し指や中指の腹で頭の中心に向かってジワッと押し込むと、目の奥や側頭部全体に向かって「ズーン」と響くような心地よい感覚がある場所です。
*耳を前に倒したとき、耳先が当たる頭皮の位置のイメージです。押すと軽い圧痛や心地よい響きを感じることがあります。
*強く押しすぎると頭皮が痛くなるため、やさしく刺激しましょう
角孫はこんなお悩みに
角孫は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 眼精疲労・目のかすみ・目の奥の痛み: 目へと繋がる側頭部の血流を改善し、画面凝視によるピント調節機能の疲れを癒やします。
- 頑固な偏頭痛・側頭部痛: ストレスや噛み締めによって側頭筋(噛む筋肉)が緊張し、頭の横がズキズキ痛む症状を優しく緩めます。
- 頭皮のコリ・抜け毛・薄毛対策: 頭皮全体の毛細血管を拡張させて栄養を行き渡らせ、健康的で柔らかい頭皮環境を育みます。
- 耳鳴り・耳の詰まり・中耳炎の緩和: 耳の真上からアプローチすることで、耳の周囲の気血の滞りをスムーズに通します。
- 歯の痛み・顎関節の突っ張り: 顎(あご)を動かす筋肉の強張りをほぐし、口の開け閉めをなめらかにします。
そのほか、耳の聞こえにくさ、こめかみ周辺の重だるさなどにも使用されることがあります。
特に、「耳や側頭部の巡りが滞っている状態」に適しています。
*急な難聴や激しい耳の痛みがある場合は医療機関へご相談ください。
角孫のセルフケア方法
「頭皮のすぐ下で、毛細血管と神経が広がる場所」なので、“指の腹で優しく押しまわす”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「冷えや慢性の疲労で、耳鳴りや頭痛が長引いている時」に有効です。髪の毛が密集している場所のため、ご家族に手伝ってもらいましょう。熱さを我慢せず心地よい温熱を据えることで、頭の中にこもった不要な熱が外へと優しく発散されます
- 火を使わないお灸:目が疲れて頭全体がどんより重い時に有効です。髪の毛を丁寧に分け、地肌のポイントに「太陽」を優しく貼り付けます。マイルドな温熱が側頭部を包み込み、張り詰めた神経がリラックスモードへと切り替わります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):毛を丁寧に避けて地肌に貼ることで、仕事中や家事の間も持続的に側頭部の緊張を和らげ、目の疲れや頭痛を未然に防ぐ効果が期待できます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:両手の親指の腹を左右のツボに当て、残りの指で頭を包み込むように固定します。頭の中心に向かって心地よい強さで小さな円を描くよう圧を加えます。それによって目がパッと開きやすくなり、頭の横側が軽くなるのを実感できます
*角孫は皮膚のすぐ下に骨があり、繊細な血管が集まっています。そのため「痛気持ちいい〜優しい圧」を意識してください。また、お灸を使用する際も、熱さを無理に我慢しないようにしましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
耳の違和感や側頭部の不快感は、ストレス、自律神経の乱れ、首や肩の緊張、疲労の蓄積、血流不足などが関係しています。
また、突然経験したことのないようなバットで殴られたような激しい頭痛に襲われた場合、片方の目が急に見えにくくなった、あるいは激しいめまいや吐き気を伴う場合は、一刻を争う脳血管のトラブルなどの可能性があるため、速やかに脳神経外科や眼科などの医療機関を受診してください。
慢性の眼精疲労や偏頭痛がひどく、セルフケアだけではなかなかスッキリしない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、首や肩のストレッチを行う、十分な睡眠をとる、長時間のスマホやパソコン作業を控える、湯船で体を温める、ストレスをため込みすぎないといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、角孫の持つ「目と頭の渋滞をリセットし、血流の波を穏やかに整える力」が最大限に引き出されるでしょう。




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