ストレスで胸が苦しく深呼吸がしづらい時に
期門とは?
【期門(きもん)】は、足の厥陰肝経に属するツボで、肝経の第14穴にあたります。また、肝の募穴=肝の状態が集まりやすい場所、として知られ、肝の働きを整える代表的なツボの一つです。肝経は、気や血の巡り、自律神経のバランス、ストレスへの対応、筋肉や腱の働き、消化機能との調和などと深く関わる経絡です。
- 期門の「期」は、一巡する、期限、約束する(周期)を意味します
- 期門の「門」は、エネルギーが盛んに出入りする重要な門戸を意味します
すなわち、足先から始まった肝経のエネルギーがここで丸1周の『期』を終え、新しいエネルギーへと生まれ変わる、経絡全体のゴールとなる重要な門、という意味を持っています。
その期門は、胸や脇の張りをやわらげる、気の巡りを整える、呼吸をしやすくする、ストレスによる緊張を和らげると考えられています。
そのため、胸や脇の張り、ストレスによる不調、気分の落ち込み、イライラ、食欲不振などのお悩みに用いられることがあります。
期門の探し方
期門は、胸の下、乳頭から真下に下りたライン上で、第6肋骨と第7肋骨のあいだのすき間(第6肋間)にあります。
- まず、仰向けに寝て、力を抜いてリラックスして深呼吸をします。
- 正面を向いたときの乳頭の位置を確認し、そこから身体の中心線と平行に、まっすぐ真下に向かって指を滑らせていきます。
- みぞおちの少し外側、肋骨のすき間を上から順に数えていくと、乳頭のライン上で「上から6番目と7番目の肋骨のあいだ」にある、指の腹がすっぽり入るくぼみが期門です。
*呼吸に合わせて軽く触れると見つけやすくなります。肋骨の近くにあるため、強く押さないようにしましょう。
期門はこんなお悩みに
期門は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- ストレスによるイライラ・気分の焦り: 自律神経の興奮を鎮め、昂った感情や抑えきれないモヤモヤを優しく落ち着かせます。
- 胸の苦しさ・息苦しさ・動悸: ストレスや緊張で呼吸が浅くなり、胸や脇腹がギューッと締め付けられるような不快感を和らげます。
- 不眠・寝付きの悪さ: 頭に上った血を優しく引き下げ、心身をリラックスモードに切り替えて深い眠りへと導きます。
- PMS(月経前症候群)・胸の張り: ホルモンバランスの乱れによる生理前のイライラ、気分の落ち込み、バストの張りと痛みを緩和します。
- 胃もたれ・ストレス性の胃痛: 自律神経の乱れからくる胃液の過剰分泌や胃の痛みを抑え、消化器の働きを滑らかにします。
そのほか、気分の落ち込み、食欲不振、深呼吸しづらい感じ、胃の不快感などにも使用されることがあります。
特に、「ストレスが続くと胸が苦しく感じる」「脇腹が張って呼吸が浅くなる」というときのセルフケアとして取り入れられることがあります。
東洋医学では、肝の気が滞ると胸脇部が張りやすくなると考えられています。期門は、その巡りを整え、心身をリラックスさせる目的で用いられる代表的なツボです。
*胸の強い痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗などを伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
期門のセルフケア方法
「肋骨の細いすき間にある、非常に繊細で響きやすいツボ」なので、“骨を強く圧迫したりするのではなく、くぼみの奥へじわーっと優しく圧を染み込ませる”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:じんわりとした温熱が肋骨のあいだを通り、胸の奥まで深く染み込むことで、冷えて滞った自律神経の緊張を優しく溶かすように巡らせてくれます。毎日据えるのがおすすめです
- 火を使わないお灸:日中にイライラしやすかったり、環境の変化によるストレスで胸が詰まる方に最適です。持続的な温熱が胸元の緊張を大元からほぐし、穏やかな心をキープしてくれます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):小さな持続刺激が、日中のデスクワークや対人関係での無意識な緊張、生理前のメンタルの波を未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:仰向けに寝て、両手の親指(または人差し指と中指)の腹を左右の期門に当てます。肋骨のすき間に向かって優しく押し込み、ゆっくり緩めます。これを数回繰り返すと、胸がスーッと開いて呼吸が驚くほどラクになります
*期門のすぐ奥には肋間神経が走り、さらに深部には肺が位置しています。早くイライラを鎮めたいからと、力任せに激しく押すと、肋間神経痛を引き起こしたり骨膜を痛めたりして大変危険です。火を使うお灸も胸元は皮膚が非常に薄くデリケートな場所ですので、「熱い」と感じたら我慢せずすぐに外してください。あくまで「痛気持ちいい、心地よく胸が開く」範囲で行いましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
胸や脇の張り、ストレスによる不調には、睡眠不足、疲労の蓄積、姿勢の乱れ、呼吸が浅くなる習慣など、さまざまな要因が関係しています。
また、胸から背中の突然の激痛・締め付け、息を吸うと刺すように痛む、高熱や吐き気を伴う胸腹痛がある場合は、狭心症や胆石症等の恐れがあります。すぐに循環器内科や消化器内科等を受診してください。
セルフケアを続けても胸の苦しさやイライラ、不眠がすっきり晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、深呼吸を意識する、十分な睡眠をとる、軽いウォーキングやストレッチを取り入れる、一人で抱え込まず、気分転換の時間を作るといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、期門の持つ「自律神経の乱れをシャットアウトし、身体と心の巡りを復活させる力」が最大限に引き出されるでしょう。




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