婦人科系のお悩みや気分の落ち込みがある時に
蠡溝とは?
【蠡溝(れいこう)】は、足の厥陰肝経に属するツボで、肝経の第5穴にあたります。また、肝経の絡穴として知られ、肝経と表裏関係にある胆経とのつながりを調整すると考えられています。肝経は、気や血の巡り、自律神経のバランス、感情の安定、女性特有のお悩み、泌尿・生殖器の働きなどと関わりが深い経絡とされています。
- 蠡溝の「蠡」は、木を食べる虫やひしゃく、あるいは貝殻のようにねじれた溝を意味します
- 蠡溝の「溝」は、骨のあいだの溝を指します
すなわち、すねの骨のふちにある小さな溝のようなくぼみであり、生殖器まわりのデリケートなトラブルを綺麗に流し去る場所、という意味を持っています。
そのため蠡溝は、足の内側の張り、下半身の重だるさ、月経に伴う不調、デリケートゾーンの違和感、気分の落ち込み、イライラなどのお悩みに用いられることがあります。
また、ストレスによって心身のバランスが乱れていると感じるときにも活用されることがあります。
蠡溝の探し方
蠡溝は、足の内くるぶしの頂点から、すねの骨に沿って真上に5寸上がったところにあります。骨の上の小さなくぼみにあります。
- 床に座って膝を軽く曲げて外側に倒し、すねの内側の平らな骨(脛骨)を確認します。
- 内くるぶしの頂点から、すねの骨の内側に沿って上に「5寸(指幅4本分+指幅3本分)」上がったところです。
- すねの骨のちょうど真ん中にある、わずかにヘコむ小さな溝が蠡溝です。
*骨のキワではなく「骨の真上」にあるのが特徴です。少しペコッとヘコむ場所があり、そこをグッと押し込むと、すねの奥へズーンと鋭く響く独特の感覚があります。
蠡溝はこんなお悩みに
蠡溝は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- デリケートゾーンの痒み・違和感: 外陰部の不快な痒みや痛み、おりものの異常などを優しく鎮めます。
- 婦人科系の不調(月経不順・PMS): 子宮まわりの血流を整え、月経前後の下腹部の張りや気分の変化を緩和します。
- 尿トラブル(排尿痛・頻尿): 泌尿器系の機能を高め、排尿時の違和感や残尿感をすっきり改善します。
- すねの内側の張り・だるさ: 下半身の巡りを良くし、歩き疲れによるすねのパンパンな張りを引き締めます。
- 気分の落ち込み・イライラ: 肝経の「絡穴」として自律神経に働きかけ、胸のつかえやメンタルのモヤモヤを解消します。
そのほか、下半身の重だるさ、ストレスなどにも使用されることがあります。
特に、「ストレスが続いて気持ちが沈みがち」「足の内側が張るような感じがする」というときのセルフケアとして取り入れられることがあります。
東洋医学では、肝経の巡りが滞ることで、下半身の不調や情緒の乱れが現れやすくなると考えられており、蠡溝はその巡りを整える目的で用いられる代表的なツボの一つです。
*強い下腹部痛や不正出血、排尿時の強い痛みなどがある場合は、セルフケアではなく医療機関を受診してください。
蠡溝のセルフケア方法
「平らな骨の上にある、非常にデリケートな場所」なので、“骨に向かって垂直に、じんわり優しく圧をかける”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:じんわりとした温熱が骨を通して奥まで染み込み、冷えて滞った肝経の巡りをスムーズにしてくれます。毎日据えるのが効果的です
- 火を使わないお灸:生理前後にデリケートゾーンの痒みが出やすい方や、すねの張りがしつこい方に最適です。持続的な温熱が下半身のこもった熱や湿気を優しく逃がしてくれます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):小さな刺激が日中のイライラや下腹部の違和感を未然に防ぎ、ズボンの下でも目立たずにケアできます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:骨の上の小さなくぼみに手の親指の腹を当てます。骨を優しく垂直に押し込むように圧をかけ、そのまま緩めます。これを数回繰り返すと、下腹部がホッと軽くなっていきます
*蠡溝は骨のすぐ上で皮膚が薄いため力任せに激しく押すと、骨膜を痛めて強い痛みが残ることがあります。火を使うお灸も熱さを感じやすい場所ですので、強い熱さを我慢しすぎず、「熱い」と感じたらすぐに外して水ぶくれを防いでください。あくまで「痛気持ちいい、心地よく響く」範囲で行いましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
足の張りや下半身の不調、気分の落ち込みには、ストレス、冷え、睡眠不足、ホルモンバランスの変化、運動不足、長時間同じ姿勢でいることなど、さまざまな要因が関係しています。
また、激しい排尿痛や血尿、デリケートゾーンの強い腫れや激痛、あるいは不正出血を伴う場合は、速やかに医療機関(婦人科、皮膚科、泌尿器科など)を受診してください。
セルフケアを続けても痒みや下腹部の違和感が治まらない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、身体を冷やさないようにする、軽いウォーキングやストレッチを習慣にする、十分な睡眠をとる、深呼吸や趣味の時間をつくり、ストレスをため込みすぎないようにするといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、蠡溝の持つ「生殖器まわりの熱を去り、気血の流れを正常に通す力」が最大限に引き出されるでしょう。




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