低気圧などによる頭痛・めまい・耳鳴りに
中渚とは?
【中渚(ちゅうしょ)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第3穴にあたります。三焦は東洋医学において、気・血・水の巡りを整える、上半身のバランスを調整する、自律神経や体温調節に関わるなどの働きがあるとされています。
- 中渚の「中」は、中央や中指(あるいは薬指)側を意味します
- 中渚の「渚」は、水が穏やかに集まる川の中州や波打ち際を指します
三焦経が主る全身の水液と熱の流れが、手の甲の骨の間で一度ゆったりと蓄えられ、さらに勢いを増して上半身へと向かう要所であることを示しています。
東洋医学では、「輸木穴(ゆもくけつ)」に分類され、気の滞りをスムーズに通す(疎通経絡)の作用が非常に強いのが特徴です。
そのため、ストレスや気圧の変動によって自律神経が乱れ、内耳(耳の奥)の水分の巡りが滞ることで起こる「めまい」や「気象病」に対して、優れたコントロール力を発揮します。
特に、「上半身に滞りが起きている状態」に適したツボです。
中渚の探し方
中渚は、手の甲側で、薬指と小指の付け根の関節から、手首に向かって指の幅1本分上がったところにあります。
- 手の甲を上に向け、薬指と小指の付け根にある大きな関節(MP関節)を確認します。
- その関節を乗り越えて、手首の方向へ指の幅1本分(約1センチメートル)なぞるように下がります。
- 薬指と小指の骨(中手骨)の間にある、V字に開いたくぼみを探してください。
- 親指の先で骨のキワをジワッと押し込むと、薬指や小指、あるいは腕の奥に向かってズーンと重く心地よい響きを感じる場所です。
※前回ご紹介した液門から、骨の隙間に沿って手首側に約1寸上がった場所、と覚えるのも分かりやすいです。強く押しすぎると痛みが出やすいため、心地よい刺激で行いましょう。
中渚はこんなお悩みに
中渚は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 低気圧による頭痛・めまい: 天気の変化に敏感な自律神経を安定させ、フワフワするめまいや偏頭痛を緩和します。
- 耳鳴り・難聴・耳の詰まり: 耳周辺のリンパや気血の巡りを良くし、こもり音やキーンという不快な音を鎮めます。
- 肩こり・首の強張り・寝違え: 三焦経のルートにあたる、首すじから肩・背中にかけての緊張をガツンとほぐします。
- 手のシビレ・指の腱鞘炎: パソコンのキーボード操作などで酷使した、手の関節の動きをなめらかにします。
- 喉の違和感・腫れ: 上半身の熱を引き下げ、風邪の初期などの喉の痛みを和らげます。
そのほか、手指のこわばり、頭の重だるさ、側頭部の張り感、ストレスによる上半身の緊張などにも使用されることがあります。
特に、「首肩〜耳周辺の巡りが悪くなっている状態」に適しています。
*耳の強い痛みや急激な聴力低下がある場合は、医療機関へご相談ください。
中渚のセルフケア方法
「エネルギーが豊かに集まる場所」なので、“骨の隙間を狙って、じんわりと深い刺激を届ける”のがコツです。
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「慢性的な耳鳴りやめまいがあり、手足の冷えが強い時」に非常に有効です。心地よい温熱が手の甲の奥まで染み渡るのを待つように1〜2壮据えましょう。温めることで三焦の水分代謝が活性化され、耳の奥の詰まりが押し流されます
- 火を使わないお灸:デスクワークをしながら持続的にケアしたい時に最適です。手の甲のくぼみに「太陽」をピタッと貼っておくことで、マイルドな温熱が手の強張りを解き、首や肩のコリまで連動して軽くなるのが実感できます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):「明日は雨が降りそう」「台風が近づいている」という時に、事前に中渚へ貼っておくことで、自律神経の急激な乱れを未然に防ぐ防波堤になってくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:手のひらを下に向けて机の上などに置き、力を抜きます。反対の手の親指の先をツボに当て、息をゆっくりフゥーっと吐きながら、薬指の骨のキワの奥へ潜り込ませるように垂直にじわーっと圧を加えます。気圧が下がって頭が重くなってきた時にその場で行うと、頭のモヤモヤがすっきり晴れやすくなります
*骨と骨の狭い隙間にあるため、骨自体をゴリゴリと強く擦るように揉むと、痛みが残ったり炎症の原因になったりします。あくまで「骨の間のくぼみ」を優しく押し込むように意識してください。お灸の際は、熱さを無理に我慢せず、心地よさを基準に行いましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
耳の違和感や首肩のこりは、ストレス、長時間のスマホやPC作業、姿勢不良、自律神経の乱れ、血流やリンパの滞りなどが関係しています。
また、ぐるぐると目の前が回るような激しいめまいで動けない場合や、耳を塞がれたような難聴が突然現れた場合は、メニエール病や突発性難聴など、早期の治療が必要な疾患の可能性があるため、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
天気が変わるたびに体調を崩し、セルフケアだけでは追いつかないという時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、長時間同じ姿勢を避ける、首肩を軽く動かす、目を休める時間を作る、入浴で身体を温める、深呼吸を意識するといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、中渚の持つ「水分代謝を正常化し、自律神経の乱れをリセットする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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