胸がつかえて呼吸も気持ちも浅くなった時に
淵腋とは?
【淵腋(えんえき)】は、足の少陽胆経に属するツボで、胆経の第22穴にあたります。胆経は、身体の側面の巡り、胸脇部のバランス、精神的な緊張、ストレスへの対応などと関係が深い経絡とされています。
- 淵腋の「淵」は、深く大きな水たまりや底の深い場所を指します
- 淵腋の「腋」は、文字通り脇の下を意味します
すなわち、脇の下の深い場所に位置し、ストレスや感情の乱れによって滞ったエネルギー(気血)が深くたまりやすい場所、という意味から命名されました。
その淵腋は、脇の下の少し下、胸の側面に位置し、胸脇部の巡りを整える、肋骨周囲の緊張を和らげる、呼吸をしやすくするといった働きがあると考えられています。
そのため、脇の張り感、胸脇部の不快感、深呼吸しづらい感じ、ストレスによる緊張、身体の横側の重だるさなどに用いられることがあります。
淵腋の探し方
淵腋は、脇の下のいちばん深いところから、真下に向かって指の幅4本分(3寸)下がった、肋骨のすき間(第4肋間)にあります。
- 片方の腕を軽く上げて、脇の下のいちばんくぼんでいる中央の部分を確認します。
- そこから脇腹の真下(おへその方向ではなく、体の真横のライン)に向かって、自分の人差し指から小指までの4本の指を揃えた幅(約3寸)だけまっすぐ下ろします。
- 乳頭とほぼ同じ高さの、肋骨と肋骨の間のすき間(第4肋間)の真横にあたる場所が淵腋です。
*腕を下ろすと確認しやすくなります。ストレスが溜まっていると、押すと強い痛みを感じることがあります。
淵腋はこんなお悩みに
淵腋は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 肋間神経痛・脇腹の痛み: 肋骨に沿って走るピキッとした鋭い痛みや、引きつるような不快感を和らげます。
- 息苦しさ・浅い呼吸: 呼吸に関わる筋肉(肋間筋)の強張りをほぐし、深く楽な呼吸に戻します。
- 胸の張り・イライラ: ストレスによって胸にこもった過剰なエネルギーを逃がし、気分の落ち込みや焦燥感を鎮めます。
- 五十肩・腕の上げにくさ: 脇の下の筋肉が緩むことで肩関節への負担が減り、腕がスムーズに上がりやすくなります。
- 肋骨まわりの筋肉の疲労:激しい咳のしすぎや運動によって痛めた脇腹の筋肉の緊張を心地よくほぐします。
そのほか、脇の張り感、胸脇部の違和感、ストレスによる緊張、身体の側面の重だるさ、肩こりに伴う脇の張り、気分の落ち込み、疲労感にも使用されることがあります。
特に、「ため息が多くなる」「ストレスがたまると胸や脇が苦しく感じる」という場合に活用されることがあります。
*胸痛や息苦しさが強い場合は、医療機関を受診してください。
淵腋のセルフケア方法
「すぐ内側に肋骨と肺がある非常にデリケートな場所」なので、“優しくマイルドな刺激を届ける”のが鉄則です
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:淵腋は脇の下に近いデリケートな部位であり、自分でお灸を据える際に火が見えにくく、火傷のリスクが高いため、火を使うお灸のセルフケアは絶対に控えてください
- 火を使わないお灸:ストレスで胸が詰まるような感じがする方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、脇腹を持続的に温めることができ、リラックスしながら胸まわりの強張りを解き放つことができます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):小さな刺激が、日中のストレスによる脇腹の引きつりや、呼吸の浅さを未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:反対側の手の親指または人差し指と中指の腹をツボに当てます。身体の中心に向かって優しく押し込みます。息を吐くときに押し、吸うときに指の力を緩めるようにして、数回繰り返すと、脇腹の緊張が自然と緩んでいきます
*淵腋はすぐ下に肺があるため、強い力で乱暴に押すことは絶対に避けてください
セルフケアで変化が感じられない時は
胸脇部の張りや違和感には、ストレス、姿勢の乱れ、疲労の蓄積、睡眠不足、呼吸の浅さなど、さまざまな要因が関係しています。
また、突然の激しい胸の痛み、締め付けられるような胸痛が左肩や顎まで広がる(心筋梗塞などの予兆)、あるいは息を吸うたびに激痛が走り息切れがする場合は、重大な疾患の可能性があるため、速やかに医療機関(循環器内科や呼吸器内科など)を受診してください。
セルフケアを続けても脇腹のピキッとした痛みや胸の苦しさが一向に晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、深呼吸を意識する、肩や胸を開くストレッチを行う、十分な睡眠をとる、気分転換の時間を作るといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、淵腋の持つ「胸脇部の強張りを根本から緩め、自律神経の巡りをスムーズにする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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