太ももの外側がだるく長く立つと疲れる時に
風市とは?
【風市(ふうし)】は、足の少陽胆経に属するツボで、胆経の第31穴にあたります。胆経は、身体の側面の巡り、筋肉や関節の動き、精神的なバランス、ストレスへの対応などと関係が深い経絡です。
- 風市の「風」は、東洋医学において自然界の邪気(風邪:ふうじゃ)や、症状が風のようにあちこちへ動き回る性質を意味します
- 風市の「市」は、物資や人々が多く集まる市場、あるいは集散地を指します
すなわち、自然界の風邪が最も侵入しやすく、その邪が一時的に溜まりやすい場所、という意味から命名されました。
その風市は、太ももの外側に位置し、脚の巡りを整える、太ももの緊張を和らげる、下半身の動きをサポートするといった働きがあると考えられています。
そのため、脚のだるさ、太ももの外側の張り、腰から脚にかけての重だるさ、長時間立った後の疲労、歩行時の違和感などに用いられることがあります。
風市の探し方
風市は、まっすぐ立ったときに、だらりとおろした手の「中指の先」が太ももの外側にちょうど当たるところにあります。
- 鏡の前でリラックスして、両足を揃えてまっすぐ立ちます。
- 腕の力を抜き、手のひらを太ももの方に向けた状態で、身体の真横にだらりとおろします。
- このとき、自分の「中指の先端」が太ももの外側の真横のラインに触れている場所を確認します。
- 太ももを縦に走る硬い筋(腸脛靭帯)のやや後ろ側で、中指の先がすっぽりと収まるような「わずかなくぼみ」があるところが風市です。
*椅子に座って探す場合は、太ももの外側、膝のお皿の上端から足の付け根(大転子)に向かって、指の幅9本分(7寸)ほど上がったあたりを目安にします。
*押すと少し響くような感覚があることがあります。
風市はこんなお悩みに
風市は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 太もも外側の張り・だるさ: 長時間の立ち仕事やウォーキング、スポーツによってパンパンに張った大腿部の筋肉を心地よく緩めます。
- 坐骨神経痛・脚のしびれ: お尻から太ももの外側、すねへと走るピキッとした鋭い痛みやしびれを和らげます。
- 下半身の冷え・むくみ: 脚の側面を流れるリンパや血液の滞りを解き、冷えきった足元を温めて余分な水分をスッキリ流します。
- 膝や股関節の違和感: 骨盤から膝へと繋がる筋膜の引きつりを抑え、関節の曲げ伸ばしや歩行時の動作をなめらかにします。
- 皮膚の痒み・じんましん: 体内に入り込んだ「風邪」を発散させ、あちこち移動する皮膚の痒みや突発的な不調を落ち着かせます。
そのほか、腰から脚にかけての重だるさ、長時間の立ち仕事による疲れ、歩行後の疲労感、お尻から太ももにかけての違和感、スポーツ後の筋肉疲労、下半身のこわばりなどにも使用されることがあります。
特に、「夕方になると脚が重い」「歩くと太ももの外側が張る」「立ちっぱなしで脚が疲れる」という場合に活用されることがあります。
*強い痛みやしびれ、歩行困難などがある場合は医療機関を受診してください。
風市のセルフケア方法
「太ももの外側にある、大きくて硬い筋肉や筋膜が緊張しやすい場所」なので、“手のひら全体や温熱を利用して、深部までじんわりと刺激を届ける”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:心地よい温熱が太ももの奥深くまでじんわりと染み込み、冷えて硬くなった筋膜を柔らかく溶かすようにほぐしてくれます。ただし、熱さを我慢しすぎると火傷の原因になりますので注意してください
- 火を使わないお灸:立ち仕事が多く脚の外側がガチガチになっている方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、太ももを持続的に温めることができ、仕事中や家事の間でも自然と脚の緊張が和らぐようになります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):太もも側面の筋肉や筋膜は比較的厚みがあるため、少し長めのものが効果的です。小さな刺激が、日中のデスクワークや移動による脚の引きつりを未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:左右のツボに両手の親指(または手の拳の関節)を当てます。太ももの骨の中心に向かって、優しく押し込みます。また、手のひらを軽く握って拳を作り、風市の周辺をトントンと優しくリズミカルに叩く刺激方法も、脚の疲労回復に非常に効果的です
*風市は比較的刺激が響きやすいツボです。気持ちいいからと拳で強く叩きすぎたり、硬い器具でゴリゴリと強く擦り付けたりすると、翌日に筋肉を痛めてしまう(もみ返し)ことがあります。心地よさを感じる範囲にとどめ、熱すぎたり痛みを感じたりした場合はすぐに中止しましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
脚のだるさや太ももの張りには、筋肉の疲労、長時間の立位や座位、運動不足、冷え、姿勢の乱れなど、さまざまな要因が関係しています。
また、突然の腰・太ももの激痛、歩けないほどの脱力、急激なしびれ、高熱、皮膚の激しい炎症がある場合は、重大な疾患の可能性があるため、速やかに医療機関(整形外科や皮膚科、内科など)を受診してください。
セルフケアを続けても太ももの外側の突っ張りや足の重だるさが一向に晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、適度なウォーキングを行う、長時間同じ姿勢を避ける、入浴で体を温める、ストレッチを習慣にするといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、風市の持つ「下半身の筋膜の緊張を根本から解放し、足腰の邪気を追い払う力」が最大限に引き出されるでしょう。




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