膝の外側のきしみや階段の昇り降りの痛みに
膝陽関とは?
【膝陽関(ひざようかん)】は、足の少陽胆経に属するツボで、胆経の第33穴にあたります。胆経は、身体の側面の巡り、筋肉や関節の動き、姿勢のバランス、ストレスによる緊張などと関係が深い経絡です。
- 膝陽関の「膝」は、その名の通り膝関節の場所を示します
- 膝陽関の「陽」は、身体の外側(陽側)を意味します
- 膝陽関の「関」は、出入り口の関所、あるいは骨と骨が繋がる関節そのものを指します
すなわち、膝の外側に位置し、下半身を流れる陽のエネルギーが行き交う、膝関節ケアのための最も重要な関所、という意味から名付けられました。
その膝陽関は、膝関節の外側に位置し、膝まわりの巡りを整える、関節周囲の緊張を和らげる、歩行や立ち座りの動きをサポートするといった働きがあると考えられています。
そのため、膝の外側の違和感、曲げ伸ばしのしづらさ、歩行時の疲労感、階段昇降時の不快感、スポーツ後の膝の張り感などに用いられることがあります。
膝陽関の探し方
膝陽関は、膝の外側にある丸い骨のでっぱり(大腿骨外側上顆)の上端と、外側の太い腱(大腿二頭筋腱)の間のへこんだところにあります。
- 椅子に深く腰掛け、膝を 90度ほどに軽く曲げます。
- 膝のお皿(膝蓋骨)の外側に手を当て、そこから少し後ろ(太ももの側面側)へ指をずらしていくと、ゴツゴツとした硬い骨のでっぱり(大腿骨外側上顆)に突き当たります。
- その骨のでっぱりの「すぐ上(やや後ろ寄り)」に指を進めると、硬い骨のふちと、太ももの裏から繋がる縦の硬い腱(大腿二頭筋腱)の間に、スッと指が沈み込む「くぼみ」があります。ここが膝陽関です。
*膝を曲げたときにできる外側のくぼみ付近が目安です。指の幅 1本分ほど下には、次のツボ「陽陵泉」があります。指の腹でグッと押し込むと、膝の関節の奥や、太ももの外側に向かってツーンと重く響く独特の感覚がある場所です。無理に強く押さず、優しく確認しましょう。
膝陽関はこんなお悩みに
膝陽関は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- ランナー膝(腸脛靭帯炎): ランニングや自転車競技、登山などで起こる、膝の外側が擦れるような鋭い痛みを和らげます。
- 階段の昇り降りの痛み: 特に階段を「下りる」ときに膝の外側がカクッと抜けそうになったり、突っ張ったりする痛みを緩和します。
- 膝の曲げ伸ばしのきしみ・変形性膝関節症: 関節まわりの強張りをほぐし、正座やしゃがむ動作の際のギシギシ感をなめらかにします。
- 膝まわりの冷え・関節の重だるさ: 関節周辺の血流を促進し、冬場やエアコンの冷気でジンジンと痛む膝を中から温めます。
- O脚・歩行時のバランス崩れ: 脚の外側にかかる過剰な負担を和らげ、骨盤から足首にかけた体重移動をスムーズにします。
そのほか、長時間立った後の膝の重だるさ、下半身の疲労感、加齢による膝の不調などに使用されることがあります。
特に、「歩き始めに膝が気になる」「階段を下りるときにつらい」「膝の外側が張った感じがする」という場合に活用されることがあります。
*膝の腫れや強い痛み、熱感がある場合は医療機関へご相談ください。
膝陽関のセルフケア方法
「骨のでっぱりのすぐキワにあり、強靭な腱が密集して皮膚が比較的薄い場所」なので、“優しい圧を届ける”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:じんわりとした温熱が関節の奥まで染み込み、冷えて硬くなった腱を柔らかくほぐしてくれます。ただし、膝まわりは皮膚が薄いため、熱さを我慢しすぎず、ピリッとしたらすぐに取り外してください
- 火を使わないお灸:冷えによって膝が痛み出す方や、歩き始めに膝の外側が強張る方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、日常の動作の中で関節の動きがスムーズに回るのを助けてくれます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):膝まわりは歩行や曲げ伸ばしで皮膚が大きく動くため、貼る際は端までしっかり密着させましょう。小さな持続的な刺激が、ウォーキング時や日中の立ち仕事による膝外側の引きつりを未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:ツボのある側の親指(または人差し指と中指を重ねたもの)の腹を当てます。骨のふちのくぼみに向かって、心地よい強さで優しく垂直に押し込みます。それによって膝側面の突っ張りが自然と緩んでいきます。*炎症(熱感)があるときはツボ押しは控えましょう
*ランニング直後などで膝の外側が赤く腫れていたり、触ると明らかに熱を持っている(急性炎症)場合は、ツボ押しやお灸などの刺激でななく、まずはアイシングを優先してください。熱すぎたり痛みを感じたりした場合はすぐに中止しましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
膝の不調には、筋力低下、運動不足、体重増加、関節への負担、冷えなど、さまざまな要因が関係しています。
また、膝の激しい腫れ・熱感・自発痛、水が溜まる感覚、あるいは膝がカクンと外れて歩けない場合は、重度の靭帯・半月板損傷や変形性関節症の悪化が疑われます。速やかに医療機関(整形外科など)を受診してください。
セルフケアを続けても膝の外側の突っ張りやきしみ一向に晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、太ももの筋力を維持する、適度なウォーキングを行う、身体を冷やさないようにする、ストレッチを習慣にするといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、膝陽関の持つ「膝の外側の腱の引きつりを根本から緩め、関節の動きをスムーズにする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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