膝の痛みや全身の筋肉を緩めたいときに
陽陵泉とは?
【陽陵泉(ようりょうせん)】は、足の少陽胆経に属するツボで、胆経の第34穴にあたります。胆経は、身体の側面の巡り、筋肉や関節の動き、柔軟な身体の働き、精神的な緊張の調整などと関係が深い経絡です。
- 陽陵泉の「陽」は、身体の外側(陽側)を意味します
- 陽陵泉の「陵」は、すねの骨のでっぱりを小高い丘(陵)に例えたものです
- 陽陵泉の「泉」は、その丘のふもとから経気(エネルギー)が泉のように湧き出ている場所であることを指します
すなわち、すねの外側にある骨のでっぱりのすぐ下に位置し、全身の巡りを整えるエネルギーがこんこんと湧き出る場所、という意味から命名されました。
その陽陵泉は、膝の外側に位置し、筋肉や腱の緊張を和らげる、関節の動きをスムーズにする、下半身の巡りを整えるといった働きがあると考えられています。
そのため、膝の違和感、足のつり、筋肉のこわばり、歩きにくさ、スポーツ後の疲労などに用いられることがあります。
胆経の中でも特に有名なツボの一つで、鍼灸臨床で最も多用される名穴です。筋肉の柔軟性を保ち、関節の動きをなめらかにするための「司令塔」のような役割を果たします。
陽陵泉の探し方
陽陵泉は、膝の外側の少し下にある、ポコッと丸く飛び出た骨のでっぱり(腓骨頭)の、すぐ斜め前下方のへこんだところにあります。
- 椅子に座って膝を 90度ほどに軽く曲げます。
- 膝の外側(真横)から少し下に指を滑らせていくと、小指側(外側)のすねのラインに、ポコッと丸く飛び出た骨のでっぱり(腓骨頭)が見つかります。
- その丸いでっぱりの「すぐ斜め前、少し下がったところ」に指を進めると、筋肉と骨の間にスッと指の腹が沈み込む、やや大きなくぼみがあります。ここが陽陵泉です。
*骨のすぐ前下方にある、やや柔らかい部分が目安です。押すとズーンと響くような感覚があることがあります。
*すねの内側にある、水分代謝の要穴、陰陵泉とちょうど表裏一体(真反対)の位置関係にあります。
陽陵泉はこんなお悩みに
陽陵泉は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 足のつり・こむら返り: ふくらはぎや足の裏の筋肉の引きつりを防ぎ、夜間やスポーツ中に突然起こる激しい痛みを予防・緩和します。
- 全身の筋肉のこり・突っ張り: 慢性的な肩こり、背中の張り、腰の強張りなど、体中の筋肉の硬さを心地よく緩めます。
- 膝関節の痛み・変形性膝関節症: 膝を支える外側の靭帯や筋肉の負担を軽減し、立ち上がりや歩行時のきしみを楽にします。
- 坐骨神経痛・足のしびれ: お尻から太もも、すねの外側を通って足先へと走る鋭い痛みやしびれ、突っ張り感を緩和します。
- 脇腹の痛み・肋間神経痛・イライラ: 胆経と表裏関係にある肝経を整え、ストレスによる脇腹の引きつりや気分の落ち込みを和らげます。
そのほか、膝の違和感、膝の曲げ伸ばしのしづらさ、太ももやふくらはぎの張り、歩行時の疲労感、スポーツ後の筋肉疲労、股関節や下半身の動きにくさなどにも使用されることがあります。
特に、「筋肉が硬くなりやすい」「運動後に足が張る」「膝がスムーズに動かない」という場合に活用されることがあります。
*膝の腫れや強い痛みがある場合は医療機関へご相談ください。
陽陵泉のセルフケア方法
「全身の筋肉を緩めるスイッチであり、比較的皮膚がしっかりした場所」なので、“深部へ圧をしっかり届けたり、お灸でじっくり温めたりする”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:じんわりとした力強い温熱がすねの奥まで染み込み、冷えてカチカチになった全身の筋を柔らかくほぐしてくれます。毎日据えることで、足腰の若々しさを保つことができます
- 火を使わないお灸:日中の立ち仕事やデスクワーク中に足がつりそうになる方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、ツボを持続的に温めることができ、仕事や家事をしながら効率よく筋肉をリラックスさせることができます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):足のつりの予防や、慢性的な膝・すねの突っ張りがある場合は、持続的な小さな刺激が日中の歩行をサポートし、夜間のこむら返りを未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:椅子に座り、両手で膝を包み込むようにして、親指の腹を左右の陽陵泉に当てます。骨のふちから奥に向かって、痛気持ちいい程度で垂直に押し込みます。数回繰り返すと、脚だけでなく腰や肩の突っ張りまで自然と緩んでいきます
*陽陵泉は非常に響きやすいツボですが、早く治したいからと親指でゴリゴリと力任せに激しく揉みほぐすと、もみ返しが起こることがあります。心地よい圧にとどめ、熱すぎたり痛みを感じたりした場合はすぐに中止しましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
筋肉のこわばりや膝の違和感には、筋力低下、運動不足、疲労の蓄積、姿勢の乱れ、冷えなど、さまざまな要因が関係しています。
また、突然の激しい腰痛、足の脱力(スリッパが脱げる)、膝の赤腫れ・熱感、片方だけのふくらはぎの激痛・腫れがある場合は、重大な疾患の恐れがあります。速やかに整形外科や内科などの医療機関を受診してください。
セルフケアを続けても筋肉の突っ張りや足のつり、膝の痛みが一向に晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、適度な運動を続ける、ストレッチを習慣にする、身体を冷やさないようにする、十分な休息をとるといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、陽陵泉の持つ「全身の筋肉と腱の強張りを解放し、身体の動きをスムーズにする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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