ストレスによる頭の張りと心のイライラに
天衝とは?
【天衝(てんしょう)】は、足の少陽胆経に属するツボで、胆経の第9穴にあたります。胆経は、頭部や側頭部の巡り、耳の働き、首肩のバランス、自律神経の調整などと関係が深い経絡とされています。
- 天衝の「天」は、身体の上部、すなわち頭部を指します
- 天衝の「衝」は、勢いよく突き進む、あるいは要所(通り道)を意味します
すなわち、頭部に向かって勢いよく昇ってきた気や血のエネルギーがぶつかる、重要な場所、という意味から命名されました。
その天衝は、耳の後ろからやや上方に位置し、頭部の巡りを整える、首や肩の緊張を和らげる、後頭部の重だるさを軽減するといった働きがあると考えられています。
そのため、後頭部の重だるさ、首こり、肩こり、頭重感、ストレスによる緊張などに用いられることがあります。
特に、デスクワークやスマートフォンの使用によって首に負担がかかる現代人にも活用されることの多いツボです。
天衝の探し方
天衝は、耳の付け根の後ろ側(耳根後縁)から、真上に向かって指の幅3本分(2寸)上がったところにあります。
- まず、鏡を見て耳の付け根の「後ろ側のキワ」を確認します。
- その耳の後ろの付け根に、自分の人差し指、中指、薬指の3本を揃えてあてがいます。
- その指3本分の幅(約2寸)だけ、頭のてっぺんに向かって真上に上がった場所が天衝です。
- 前回のツボ率谷から、指の幅約1本分(約0.5寸)ほど後ろにずれた位置にあります。
*髪の毛の中に位置し、指の腹で触れるとコリコリとした硬い緊張を感じられる場所です。軽く押して心地よい場所を探しましょう。
天衝はこんなお悩みに
天衝は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- イライラ・驚きやすさ: 興奮した自律神経を鎮め、些細なことで怒りっぽくなったりビクビクしたりする心を落ち着かせます。
- 側頭部痛・緊張型頭痛: 耳の後ろからこめかみにかけて締め付けられるような痛みや、頭の張りを緩和します。
- 心悸亢進(動悸・不安感): 精神的なストレスからくる胸のドキドキや、気持ちのソワソワ感を優しく静めます。
- 耳鳴り・難聴: 耳のすぐ上から後ろを通る経絡の滞りを解消し、耳の中の不快な音をすっきり通します。
- 歯肉の腫れ・痛み: 頭部に昇った余分な熱を下ろすことで、歯ぐきの浮くような痛みを和らげます。
そのほか、首こり・肩こり、後頭部の重だるさ、頭重感、ストレスによる緊張、目の疲れに伴う頭の不快感、長時間のデスクワークによる疲労などにも使用されることがあります。
特に、「首がこると頭まで重くなる」「後頭部が張る感じがする」という場合に活用されることがあります。
*激しい頭痛や突然の症状がある場合は、医療機関を受診してください。
天衝のセルフケア方法
「精神的なストレスが頭の張りと深く連動する場所」なので、“指先で優しく押し上げるように触れる”のがポイントです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:天衝は完全に髪の毛の中に位置するため、火を使うお灸は、髪の毛への引火や大火傷の危険が非常に高いため絶対に控えてください
- 火を使わないお灸:精神的に疲れやすく、頭がいつもモヤモヤしている方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、耳の後ろから側頭部が持続的に温まり、仕事中やリラックスタイムでも自然と心が和らぐようになります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):頭皮や髪の毛の生え際付近は刺激に敏感なため、一番短いタイプから試しましょう。小さな刺激が、日中のプレッシャーによる神経の高ぶりや、夕方にかけて起こる頭の重苦しさを未然に防いでくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:親指(または人差し指と中指)の腹をツボに当て、頭の中心に向かってじんわりと心地よい強さで押し込みます。そのまま頭皮をごく優しく円を描くようにもみほぐすと、頭全体の強張りが自然と緩んでいきます
*側頭部は血管が豊富に通っているため、ツボ押しで強い痛みを感じる場合は、皮膚のトラブルや頭痛の悪化を防ぐためすぐに中止してください
セルフケアで変化が感じられない時は
首こりや頭重感には、長時間の同じ姿勢、ストレス、睡眠不足、眼精疲労、運動不足など、さまざまな要因が関係しています。
また、突然の経験したことのないような激しい頭痛、激しい動悸や胸の痛み、言葉がうまく出ない、あるいは手足のしびれを伴う場合は、重大な脳神経疾患や心疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
セルフケアを続けても頭の片側の張りやイライラが晴れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、こまめに姿勢を変える、首肩のストレッチを行う、十分な睡眠をとる、目を定期的に休ませるといった生活習慣の見直しも大切です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、天衝の持つ「頭部の引きつりを緩め、自律神経の乱れを穏やかに整える力」が最大限に引き出されるでしょう。




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