胃からの不快な逆流やつかえを感じる時に
幽門とは?
【幽門(ゆうもん)】は、足の少陰腎経に属するツボで、腎経の第21穴にあたります。腎は東洋医学において、生命エネルギーの基盤、水分代謝、ホルモンバランス、消化吸収のサポートなどに関わるとされています。
- 幽門の「幽」は、深くて奥まった場所を意味します
- 幽門の「門」は、出入り口を意味します
解剖学的にも胃から十二指腸へつながる出口を「幽門」と呼びますが、東洋医学においてもこのツボは、消化されたものを次のステップへ送り出す大切なゲートウェイと考えられています。
幽門は、 腎経と「衝脈(しょうみゃく)」が交わるお腹のツボの最終地点であり、ここが硬く閉じていると、エネルギーが逆流して吐き気や胸焼けを引き起こします。
そのため、「胃に入ったものがうまく先へ流れない状態」に適したツボです。
幽門の探し方
幽門は、おへそから指の幅7本分上で、そこから外側へ指の幅半分(約0.5寸)ずれた場所にあります。
- まず、おへその中心を確認します。
- おへそから真上に向かって、指の幅4本(3寸)を2回重ねた場所(6寸上)から、さらに指の幅1本分(1寸)上の、合計指7本分(約6寸)上がります。
- その位置(巨闕の高さ)から、外側へ指の幅半分(約1センチ強)ずれた場所が幽門です。
- ちょうど、みぞおちの先端(剣状突起)のすぐ両脇あたりに位置します。指で軽く押すと、胃にズンと響いたり、人によっては少し痛みを感じたりする場所です。
*みぞおちのすぐ下、やや外側にあるツボのイメージです。軽い圧痛や詰まり感がある場所が目安です。胃に近い部位のため、強い圧は避けましょう。
幽門はこんなお悩みに
幽門は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 胃もたれ・消化不良: 胃の出口を緩め、食べ物が腸へスムーズに流れるのを助けます。
- 胸焼け・胃酸の逆流: 胃の気が逆上するのを抑え、酸っぱいものが上がる不快感を鎮めます。
- 吐き気・つわり: ムカムカする不快感を抑え、胃を落ち着かせます。
- 腹痛・下痢: 消化のプロセスを整えることで、急な腹痛や水様便の緩和に役立ちます。
- 食欲不振: 胃の「溜まり」を解消し、美味しく食事が摂れる状態へ導きます。
そのほか、みぞおちのつかえ、げっぷが多い、胃の動きが鈍い感じなどにも使用されることがあります。
特に、「食後に胃の中で停滞している感覚がある状態」に適しています。
*強い胃痛や吐き気・嘔吐がある場合は医療機関へご相談ください。
幽門のセルフケア方法
「胃の出口のゲートを調整する場所」なので、“呼吸に合わせて優しく、硬さを溶きほぐす”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「冷たいものの食べ過ぎで胃が動かなくなった時や、強い胃痛がある時」に非常に有効です。心地よい熱さを感じるまで据えましょう。熱を入れることで「幽門」の門番がリラックスし、滞っていた気が一気に流れ始めます
- 火を使わないお灸:慢性的な胃弱の方や、冷えで胃が痛みやすい方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、胃の出口周辺が持続的に温まり、緊張で閉じていた「門」が自然と緩んで消化が促進されます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):みぞおちに近いデリケートな場所なので、刺激の少ないタイプが向いています。日常的に貼っておくことで、食後の胃の重みを軽減する効果が期待できます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:仰向けになり、膝を軽く曲げてリラックスします。中指をツボに添え、ゆっくりと息を吐きながら、体の中心に向かって斜め45度くらいの角度で優しく押し込みます。指の重みでじわーっと沈み込ませるのがポイントです。10回ほど繰り返すと、お腹がグルグルと動き出し、巡りが良くなるのを感じられます
*心臓のすぐ近くですので、動悸が激しい時や発熱時は避けてください。また、食後すぐの強い刺激は逆効果になることがあるため、食後1時間以上空けてから行いましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
胃の停滞感やもたれは、食べ過ぎ・早食い、ストレスによる胃の動きの低下、冷たい飲食物の摂りすぎ、不規則な食生活、自律神経の乱れなどが関係しています。
また、激しい胃痛が続く、吐血がある、あるいは便が真っ黒であるといった場合は、直ちに医療機関を受診してください。
自分でケアしても胃のつかえが取れず、体力が落ちている、と感じる時は、無理をせず医師や鍼灸師に相談しましょう。
そのほか、食事量を見直す、よく噛んで食べる、温かい食事を中心にする、食後すぐ横にならない、リラックスする時間を作るといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首、肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、幽門の持つ「胃腸の関所を開き、全身の栄養吸収を高める力」が最大限に引き出されるでしょう。




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