腕から肩にかけての熱や滞りが気になる時に
清冷淵とは?
【清冷淵(せいれいえん)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第11穴にあたります。三焦は東洋医学において、気や水分の通り道、体温調整、自律神経との関係、上半身の巡りの調整などに関わるとされています。
- 清冷淵の「清」は、清らかで澄んでいることを意味します
- 清冷淵の「冷」は、冷やすことを意味します
- 清冷淵の「淵」は、水が深く淀んで集まる場所を意味します
三焦経は体内の熱(生命の火)をコントロールする役割を持っていますが、この清冷淵はその高ぶりすぎた火に冷水を注ぎ、中和してくれる絶好のポイントであることを示しています。
そのため、清冷淵は、腕の熱感を鎮める、肘周辺の巡りを整える、肩から腕の緊張をやわらげる、気血の流れをスムーズにするといった働きがあるとされ、腕のだるさ、肘の違和感、肩から腕の張り、熱っぽさ、上半身の疲労感などに用いられることがあります。
特に、「上半身に熱や緊張がこもり、巡りが悪くなっている状態」に適したツボです。
清冷淵の探し方
清冷淵は、肘の先端から、肩に向かって指の幅3本分(2寸)上がった、二の腕の後ろ側にあります。
- 肘を軽く曲げ、腕をリラックスさせます。
- 前回ご紹介した、肘のすぐ上にある大きなくぼみ天井を確認します。
- その天井から、肩(二の腕の付け根)の方向に向かって、さらに指の幅2本分(約1寸)なぞるように上がります。
- 肘の一番尖った骨の山から数えると、まっすぐ肩に向かって指の幅3本分(2寸)上がった高さになります。
- 二の腕の後ろ側にある太い筋肉(上腕三頭筋)の腱の真ん中に位置します。
*親指の腹でジワッと押し込むと、二の腕の骨の芯に向かってズーンと重く、時には肘の方まで響きが走る場所です。筋肉が緊張していると見つけやすいことがあります。
清冷淵はこんなお悩みに
清冷淵は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 四十肩・五十肩・腕の痛み: 肩や二の腕の筋肉がズキズキ痛んで腕が上がらない、後ろに回らないといった激しい痛みを和らげます。
- 頭痛・頭ののぼせ: ストレスや自律神経の乱れ、暑さなどで頭に血が上り、ガンガン痛む状態をクールダウンさせます。
- 目の充血・喉の腫れ: 顔まわりの急な炎症を抑え、目のショボショボ感や喉のイガイガをすっきり通します。
- 脇腹のつっぱり・肋間神経痛: 三焦経のルートと連動する胸から脇にかけての気の滞りをスムーズにし、呼吸時の痛みを緩和します。
- 首こり・背中の張り: 首すじから肩甲骨まわりにかけてのしつこい筋肉の強張りをほぐします。
そのほか、腕のだるさ、肘周辺の違和感、上半身の疲労感などにも使用されることがあります。
特に、「熱感と筋緊張が重なり、腕の巡りが悪くなっている状態」に適しています。
*強い炎症や腫れ、しびれがある場合は医療機関へご相談ください。
清冷淵のセルフケア方法
「こもった熱を深い水の力で冷ます場所」なので、“二の腕の筋肉を優しく包み込み、じわじわと芯まで刺激や温熱を届ける”のがコツです。
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「二の腕がガチガチに固まって冷えている時や、慢性的な肩こり・頭痛が長引いている時」に非常に有効です。心地よい温熱が二の腕の深部までじっくり染み通るのを待つように据えましょう。温めることで「清冷」のスイッチが入り、滞っていた血流が一気に巡り始めます
- 火を使わないお灸:デスクワーク中の慢性的な肩こりや、五十肩の痛みの予防に最適です。二の腕のポイントに「太陽」をピタッと貼っておくことで、マイルドな温熱が持続し、腕を動かしたときの突っ張り感が和らいでいくのが実感できます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):日常動作で腕を動かすたびに持続的に筋肉を緩め、ズキズキする痛みをコントロールするお守りとして活躍します(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:ケアする側の腕を反対の胸の前へ回すようにして、二の腕をリラックスさせます。反対の手の親指の腹をツボに当て、息をゆっくりフゥーっと吐きながら、骨に向かって垂直にじわーっと深く圧を加えます。腕が痛くて上がらない時は、強く揉むのではなく、ここを優しく円を描くように押し揉むと緊張が抜けやすくなります
*五十肩などで、関節が激しくズキズキ痛む「急性期(熱感がある、夜も眠れないほど痛む)」の場合は、お灸での温めや強いツボ押しは避けてください。お灸を使用する際は、皮膚を傷めないよう熱さを無理に我慢せず、心地よさを基準に行いましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
腕のだるさや肩の張りは、長時間の同一姿勢、スマホやパソコン作業、筋肉疲労、血流低下、ストレスによる緊張などが関係しています。
また、腕をほんの少し動かすだけでも激痛が走り夜も全く眠れない場合や、肩の関節が赤く腫れ上がって明らかに熱を持っている場合は、重度の腱板断裂や石灰沈着性腱板炎などの可能性があるため、速やかに整形外科を受診してください。
毎日セルフケアをして温めているのに、腕の可動域が全く広がらず、頭ののぼせも取れない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、肩甲骨を動かす、軽いストレッチを行う、長時間同じ姿勢を避ける、湯船で体を温める、適度に休息をとるといった日常習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、清冷淵の持つ「体内の邪熱を一気に吹き飛ばし、肩や腕の激しい炎症と強張りを根本からリセットする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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