こめかみから耳の奥の不快感が気になる時に
瘈脈とは?
【瘈脈(けいみゃく)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第18穴にあたります。三焦は東洋医学において、気や水分の通り道、頭部や感覚器の働き、全身の巡り、自律神経のバランスなどに関わるとされています。
- 瘈脈の「瘈」は、筋肉が引きつる、痙攣する、あるいは神経が激しく興奮してパニックを起こす状態を意味します
- 瘈脈の「脈」は、気血の流れる血管や、脈打つような鋭い痛みを指します
東洋医学の古典において、瘈脈は文字通り「筋肉の引きつりや、頭の中で激しく脈打つようなトラブルを解消する場所」として重宝されてきました。
そのため瘈脈は、耳周辺の巡りを整える、側頭部の緊張をやわらげる、頭部への気血の流れを促す、耳や頭の不快感を軽減するといった働きがあるとされ、耳鳴り、耳の閉塞感、側頭部の頭痛、こめかみの張り、頭重感などに用いられることがあります。
特に、「耳から頭の横にかけて巡りが滞っている状態」に適したツボです。
瘈脈の探し方
瘈脈はこんなお悩みに
瘈脈は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 神経性の偏頭痛・ズキズキする頭痛: ストレスや疲労によって側頭部の血管が拡張し、脈打つように痛む症状を和らげます。
- 急な耳鳴り・耳の痛み: 耳の真後ろからダイレクトにアプローチし、耳の奥の不快な雑音や突っ張るような痛みを鎮めます。
- 小児のひきつけ・神経過敏: 脳や自律神経の急激な興奮を和らげ、夜泣きや過度なイライラを落ち着かせる救急穴として用いられます。
- 目の疲れ・かすみ目・眼精疲労: 側頭部の血流を改善することで目の周辺の緊張をほぐし、視界をクリアにします。
- 首すじの後ろ側の強張り: 耳の後ろの骨の周囲に張り付いた硬いコリを緩め、頭を動かしやすくします。
そのほか、耳の閉塞感、こめかみの張り、頭重感、首肩こりに伴う頭の不快感などにも使用することがあります。
特に、「耳から側頭部にかけて緊張や循環不良が起きている状態」に適しています。
*急な難聴、激しい頭痛、強いめまいがある場合は医療機関へご相談ください。
瘈脈のセルフケア方法
「頭皮のすぐ下にある、神経と血管の通り道」なので、“マイルドな温熱を届ける”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「冷えや疲れによって耳の後ろが固まり、耳鳴りや頭痛が長引いている時」に有効です。髪の毛のキワでもあるので、家族に手伝ってもらいましょう。マイルドな温熱を据えるだけで、頭の中にこもった不快な熱が外へと発散されます
- 火を使わないお灸:ストレスが溜まって頭がのぼせやすい時や、慢性的な耳の不快感の予防に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、優しい温熱が頭の横側をじんわりと包み込み、高ぶった神経がリラックスモードへと切り替わります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):短いパイオネックスを貼ることで、側頭部の緊張を持続的にほぐし、急な偏頭痛を未然に防ぐ効果が期待できます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:人差し指か中指の腹をツボに当てます。頭の中心に向かって垂直に優しく圧を加えます。指の腹で皮膚を軽く後ろに引き上げるように優しく円を描くマッサージをするだけでも、頭の圧迫感がフッと抜けやすくなります
*瘈脈は皮膚のすぐ下に骨があり、細い血管や神経が通過する非常に繊細なポイントです。そのため「痛気持ちいい〜優しい圧」を意識してください。また、お灸を使用する際も、急な炎症でツボ周辺が赤く腫れて熱を持っている場合は温めを避け、優しいツボ押しにとどめてください
セルフケアで変化が感じられない時は
耳鳴りや頭重感は、ストレス、睡眠不足、首肩こり、眼精疲労、自律神経の乱れなどが関係しています。
また、突然の激しい頭痛に伴って目の前がチカチカする(閃輝暗点など)、片方の耳が急に全く聞こえなくなった、あるいは激しいめまいで吐き気がして動けないといった場合は、突発性難聴や脳血管のトラブルなどの可能性があるため、一刻も早く耳鼻咽喉科や脳神経外科などの医療機関を受診してください。
慢性的な偏頭痛や耳の詰まり感がひどく、セルフケアをしていてもなかなかスッキリしない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、十分な睡眠をとる、首肩の緊張をほぐす、スマホやパソコンの使用時間を見直す、適度に休憩をとる、ストレスをため込まないといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、瘈脈の持つ「頭部や神経の激しいパニックを瞬時に鎮め、気血の波を穏やかに整える力」が最大限に引き出されるでしょう。




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