耳から顔面にかけての巡りの滞りに
和髎とは?
【和髎(わりょう)】は、手の少陽三焦経に属するツボで、三焦経の第22穴にあたります。三焦は東洋医学において、気や水分の通り道、耳や目など感覚器の働き、顔面部の巡り、自律神経のバランスなどに関わるとされています。
- 和髎の「和」は、和らげる、調和させる、乱れたものを正常に戻すという意味を持ちます
- 和髎の「髎」は、骨の隙間やくぼみ、あるいは筋肉の集まる溝を指します
すなわち和髎は、骨の絶妙な隙間に位置しながら、頭部や顔面に発生した五感のトラブル(視覚、聴覚など)や神経の興奮を優しくなだめ、全体のバランスを調和させる拠点であることを示しています。
そのため和髎は、耳周辺の巡りを整える、顔面の緊張をやわらげる、側頭部の気血の流れを促す、耳や顔の不快感を軽減するといった働きがあるとされ、耳鳴り、耳の閉塞感、顔のこわばり、こめかみの頭痛、顎まわりの違和感などに用いられることがあります。
特に、「耳から顔面にかけて気血の巡りが滞っている状態」に適したツボです。
和髎の探し方
和髎は、耳の穴の前上方、もみあげの後ろ側のキワで、指先で触ると脈がピクピクと打っているところにあります。
- 首をまっすぐ正面に向け、耳の最上部(耳尖:じせん)の高さを確認します。
- その耳の最上部の高さから、まっすぐ顔の前方(おでこの方向)に向かって指の幅1本分進みます。
- ちょうど「もみあげの後ろ側のキワ」あたりで、指先で優しく触れると、微かに血管の拍動(浅側頭動脈)が触れるポイントがあります。ここが和髎です。
*耳門の少し斜め上に位置します。押すと耳やこめかみ周辺に響く感じがある場所が目安です。
*顔面部は刺激に敏感なため、強く押しすぎないようにしましょう。
和髎はこんなお悩みに
和髎は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 頑固な偏頭痛・側頭部痛: 側頭部の引きつった血管や頭皮の緊張を緩め、脈打つようなズキズキする頭痛を和らげます。
- 眼精疲労・目のかすみ・充血: 目へと繋がる血管の巡りをスムーズにし、スマホなどの画面の見すぎによるピント調節の疲れを癒やします。
- 顎関節症・あごの強張り・歯痛: 食いしばりやストレスによって固まった噛む筋肉(側頭筋)をほぐし、あごの動きを楽にします。
- 顔面神経麻痺・顔のピクピク感: 顔を走る神経の巡りを整え、まぶたや頬の不快な引きつりや痙攣を鎮めます。
- 耳鳴り・耳の閉塞感: 耳のすぐ近くからアプローチすることで、耳の周囲の気血の滞りをスッキリ通します。
そのほか、顔のこわばり、顔面部の疲労感などにも使用されることがあります。
特に、「耳や顔まわりの緊張と巡りの滞りが重なっている状態」に適しています。
*急な難聴、顔面の麻痺、激しい頭痛などがある場合は医療機関へご相談ください。
和髎のセルフケア方法
「太い血管がすぐ下にあり、神経が密集する非常にデリケートな場所」なので、“指の腹で優しく圧を加える”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「冷えや過労で顔まわりがこわばり、頭痛や耳の不快感が長引いている時」に有効です。髪の毛が非常に近い場所のため、家族に手伝ってもらいましょう。心地よい温熱を据えるだけで、頭の中にこもった不要な熱が外へと優しく発散されます
- 火を使わないお灸:目が疲れてどんより重い時やに有効です。マイルドな温熱が張り詰めた神経をリラックスモードへと導きます(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):短いパイオネックスを貼ることで、持続的に側頭筋の緊張を和らげ、目の疲れや噛み締めによる頭痛を未然に防ぐ効果が期待できます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:両手の力を抜き、人差し指か中指の腹を左右のツボに優しく当てます。頭の中心に向かって垂直に圧を加えます。頭痛がしている時は、指の腹を地肌から離さずに小さな円を描くように優しくさすります
*和髎はすぐ下に太い動脈が走っています。強い刺激はかえって偏頭痛を悪化させたりする原因になります。あくまで優しい圧を意識してください。また、お灸を使用する際、急な炎症でツボ周辺が赤く腫れて熱を持っている場合は温めを避け、優しいツボ押しにとどめてください
セルフケアで変化が感じられない時は
耳や顔面部の不調は、ストレス、睡眠不足、首肩こり、眼精疲労、自律神経の乱れなどが関係しています。
また、突然経験したことのないような激しい頭痛に襲われた場合、片方の目が急に見えにくくなった、あるいは顔の片側が急に引きつって動かせない(顔面神経麻痺などの疑い)という場合は、一刻を争う可能性があるため、速やかに脳神経外科や耳鼻咽喉科、神経内科などの医療機関を受診してください。
慢性的な偏頭痛や眼精疲労が辛く、セルフケアを続けてもなかなかスッキリしない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、十分な睡眠をとる、首肩の緊張をほぐす、スマホやパソコンの使用時間を見直す、適度に休憩をとる、ストレスをため込まないといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や首・肩・肩甲骨、腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、和髎の持つ「顔面と頭部の血流を調和させ、筋肉と神経をリセットする力」が最大限に引き出されるでしょう。




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