腕のだるさや胸のドキドキを感じる時に
天泉とは?
【天泉(てんせん)】は、手の厥陰心包経に属するツボで、心包経の第2穴にあたります。心包は東洋医学において、心(しん)を守る、精神の安定、血の巡り(循環)、ストレスへの反応などに関わるとされています。
- 天泉の「天」は、胸部や高い位置を意味します
- 天泉の「泉」は、水が湧き出る源泉を意味します
すなわち、心包経のエネルギーが、胸(天池)から腕へとダイレクトに流れ込み、勢いを増す場所です。
東洋医学において、「心包経」は「心」の守護神であり、天泉はその守護の力を腕の動きや深い呼吸へとつなげる中継地点です。
特に、ストレスや過労で心臓に負担がかかり、熱がこもった状態を鎮め、全身にスムーズな潤いを届ける役割を担っています。
天泉の探し方
天泉は、脇の下の前側の横紋(シワ)の先端から、指の幅3本分下がった場所にあります。
- 腕を軽く曲げて、脇の下の前面にあるシワ(腋窩横紋前端)を確認します。
- そのシワの先端から、手首の方向へ指の幅3本分(約2寸)下がったところが天泉です。
- 力こぶの筋肉(上腕二頭筋)の間に位置します。
- 指でグッと押さえると、二の腕の内側に独特の重だるい響きを感じたり、心臓が疲れている時はツーンとした痛みを感じたりする場所です。
*脇の下から少し下がった、腕の内側のポイントです。軽い圧痛やだるさを感じる場所が目安です。神経や血管が通る部位のため、強い圧は避けましょう。
天泉はこんなお悩みに
天泉は、次のようなお悩みに用いられることがあります。
- 動悸・息切れ: 心臓の余分な熱を取り、激しい鼓動や呼吸の乱れを落ち着かせます。
- 胸痛・脇の痛み: 胸から脇にかけての筋肉の緊張を緩め、圧迫感を解消します。
- 咳・気管支炎: 胸郭をリラックスさせ、深くスムーズな呼吸を助けます。
- 腕のしびれ・痛み: 二の腕の内側から肘にかけての強張りを取り除きます。
- 視力減退: 心包経の巡りが良くなることで、目の疲れやかすみの緩和に用いられることもあります。
そのほか、腕の重だるさ、肩や上腕の緊張、胸のつかえ、ストレスによる身体のこわばりなどにも使用されることがあります。
特に、「ストレスや緊張が上半身にたまりやすい方」に適しています。
*強いしびれや痛み、胸痛などがある場合は医療機関へご相談ください。
天泉のセルフケア方法
「泉の水を流す場所」なので、“腕を優しく包み込み、詰まりを下へ押し出す”のがコツです
おすすめのケア方法は次のとおりです。
- 火を使うお灸
- 火を使わないお灸
- パイオネックス(置き鍼)
- ツボ押し
(注意点)
- 火を使うお灸:「心臓がドキドキして不安な時や、咳で胸が痛む時」に有効です。熱が心地よく腕に染み渡るまで据えましょう。温めることで、停滞していた「泉の気」が再び湧き出し、心に余裕が生まれます
- 火を使わないお灸:慢性的に動悸を感じやすい方や、腕が冷えて強張っている方に最適です。ここに「太陽」を貼ることで、二の腕から胸にかけての血流が改善され、心臓がリラックスした状態を保ちやすくなります(3時間以上は貼らないこと)
- パイオネックス(置き鍼):二の腕は服との摩擦が多い場所ですが、パイオネックスなら目立たず、日常のふとした緊張からくる胸の苦しさをケアし続けてくれます(1日以上貼らないこと)
- ツボ押し:反対の手で二の腕を掴むようにし、親指をツボに当てます。息をゆっくり吐きながら、骨に向かって垂直に3〜5秒ほどじわーっと圧を加えます。そのまま手首の方向へ向かって、さするようなイメージでマッサージすると、胸のつかえがスッと取れやすくなります
*二の腕の内側は皮膚が非常に薄く、デリケートな場所です。お灸の際は温度に注意し、熱いと感じたらすぐに取り除いてください。また、強く揉みすぎると揉み返しが起きやすいので、優しい刺激を心がけましょう
セルフケアで変化が感じられない時は
腕のだるさや胸のつかえは、ストレス、長時間の同一姿勢、血行不良、姿勢の崩れ、自律神経の乱れなどが関係しています。
また、安静にしていても強い動悸が治まらない、冷や汗が出る、あるいは左肩から顎にかけて激しい痛みが広がる場合は、心疾患の可能性があるため、直ちに医療機関を受診してください。
セルフケアをしても腕のしびれや胸の不安感が抜けない、という時は、無理をせず医師や鍼灸師にご相談ください。
そのほか、こまめに肩や腕を動かす、長時間同じ姿勢を避ける、深呼吸を意識する、入浴で体を温める、ストレスをためすぎないといった生活習慣の見直しも重要です。
鍼灸の施術では、手足や、首・肩・肩甲骨・腰・骨盤などのツボを使用し、全身調整を行います。
それによって、天泉の持つ「心機能を安定させ、全身の巡りを整える力」が最大限に引き出されるでしょう。




コメントをお書きください